「開成の未来を創る」ために、開成が大事にすべきものは何か、これからの生徒が育っていく空間としてどのようなものがふさわしいのかを考え、プランを作成しました。本当に必要なものだけで構成された質実剛健なものでありながら、使いやすさや生活空間としての快適さも十分に考慮し、何十年も使い続ける事ができる校舎です。
(2018年10月に基本設計調整後の図に更新しました)
概略の平面図はこちらからご覧になれます。
- 普通教室グループディスカッションなど多様な授業形態にも対応できる広さに拡張。生活空間としての心地よさにも配慮。
- 予備教室2室から6室に増やし,分割・合併授業などに対応。教科教室的な使い方も想定。
- 学年フロア吹き抜けを挟んで4教室ずつ向かい合う配置。回遊型の廊下、教室に隣接するオープンスペースやテラスが存在し、生徒が交流しやすい造り。
- 吹き抜け各学年フロアのテラスが階段状に配置。テラスを結ぶ階段で学年を超えた交流が可能。
- 吹き抜け2教室に隣接する吹き抜けを見上げると空が見え、外気に接することが可能。
- 大体育館半地下の体育館はバスケットの正規コート2面、バドミントンの正規コート8面がとれる広さを確保。全校生徒が集まることも可能。
- 小体育館B棟の1階にピロティーに面して配置。
- 柔道場C棟の1階にピロティーに面して配置。
- ピロティー学生ホールの下はピロティーが広がる。雨天時の屋外活動にも利用できる。
- 学生ホール食堂でもあり、生徒の活動の拠点となる。学園の中心部に配置。北側の窓には向陵稲荷坂の桜並木が広がる。
- 渡り廊下3階部分に回遊性が生まれ、生徒の動線が広がる。
- 小ホール3,4階に配置した約100人収容のホール。講演会やミニコンサート、演劇だけでなく、様々な使い方が可能。
- 教員室ベースフロアとなる3階に配置。生徒の質問などを受けるテーブルなども設置。
- 事務局正門に近い1階に配置。
- 図書館2階と3階の2フロアに展開する図書館。学生ホールや中学にも近い。
- 音楽室、美術室屋上テラスに面した気持ちのよい空間に配置。
- 特別教室社会科教室、英語科教室など、教科の特性に応じた特別教室を用意。
- 理科実験室理科実験室6室をA棟,B棟の6階に配置。
- 天文ドーム太陽観測などに使う天体望遠鏡を設置。
- 中学との上空通路教員室や保健室もありベースフロアとなっている3階部分で中学と行き来できる。中学生が高校敷地の施設を使いやすいように配慮。
- 第2グラウンド2016年に人工芝化完成。雨や雪、霜で使えないという状況が減少。竣工時には現在より広くなる。
- 屋上テラス普通教室から見えるところに、日常的に利用できる空間が広がる。
- 中庭視線が抜ける奥行のある中庭。緑地も配置。
- 別館別敷地の建物。2018年末に完成。防災倉庫、校史資料室、開成会事務所など。工事中は事務局,柔道場としても利用。
開成が維持、発展させるべき重要項目
生徒はいろいろな場面で学び成長していきますが,重要項目として以下の三つを考えました。
授業
開成の教育の根幹です。高度な授業を支える機器の導入はもちろん、ますます多様化する授業形態に対応可能であることが必要です。
生徒の活動
部活動、文化祭や生徒会などの活動だけでなく、放課後に友達と過ごす時間の積み重ねなどから、開成の生徒は多くのものを学び、成長していきます。日常的な生徒の活動を通じての生徒同士の刺激は、開成にとってとても大事なものです。
運動会
開成にとって運動会はとても大切です。生徒は運動会を経験することで大きく成長します。また、運動会は世代を超えた共通体験であり、卒業してからも綿々と続く開成の一体感の大きな源となっています。
具体的な考慮点
- 普通教室は、今後ますます多様化する授業形態に対応できる広さと設備としました。
- 分割授業や合併授業に対応できるよう、予備教室を増やしました。教科教室的な使い方も想定しています。
- グラウンド、テラス、ピロティ、オープンスペース、学生ホール、予備教室など生徒活動の場を多く用意しました。
- 目的を定めないオープンスペースを随所に配置し,生徒が自主的に活動できる場を増やしました。
- 学生ホール、図書館は高校生だけでなく中学生も利用しやすい位置(敷地北西部)に配置しました。
- すべての建物を現在校舎がある下の敷地に配置し、高低差のある敷地の特性を最大限に生かした使いやすいレイアウトにしました。
- 普通教室は、第2グラウンドにすぐ出られるように3階~5階に配置しました。
- 3階をベースフロアとし、教員室や保健室を配置します。正門付近に渡り廊下を設けることで3階での回遊性を確保しました。
- 上空通路を設置し、高校校舎と中学校舎は3階でも行き来ができるようにしました。
- 広く奥行きがある中庭を中心に建物を配置します。視線が抜け、中高の一体感が向上しました。
- 上のグラウンドには仮設も含め校舎は建てず、毎年開成のグラウンドで運動会ができるようにしました。
- 生徒の学習活動、日常の学校生活の中心となる普通教室、特別教室は現在の校舎を使いながら新校舎を建築し、仮設校舎を使うことがないようにしました。
敷地全体を有効活用し、広くゆとりある空間を実現
- 建物諸室床面積
約13600m2 → 約16900m2 - 予備教室
2室 → 6室 - 大体育館
約1050m2 → 約1450m2 - 第2グラウンド
約600m2増加 - 共用部(オープンスペース、トイレ、廊下など)
約4190m2 → 約6000m2 - テラス
約2000m2を新設
新校舎建築計画の概要
- 高校敷地校舎の全面建て替え(普通教室棟、特別教室棟、体育館、南北本館(事務局,学生ホール,教員室,図書館)、旧館)
- 第2グラウンドの整備(人工芝化)
- 隣接別敷地に別館新築(会議室、資料室、倉庫など)
- 建物諸室床面積 約16900m2(現在に比べ27%増)
- 地上6階(一部7階)、地下1階
ここで示した新校舎の概要は基本設計段階のものであり、実施設計を経て変更となる可能性があります。
進行予定
- 2015年3月
基本計画 完成 - 2015年9月
基本設計 完成 - 2016年度
第2グラウンド整備工事(人工芝化) - 2018年1月
別館新築工事開始 - 2019年4月
本敷地校舎工事開始 - 2021年9月
新校舎での授業開始 - 2023年6月
Ⅱ期工事竣工。学生ホール,小体育館などの施設が使用可能に - 2024年7月
特別棟解体,外構工事終了こちらから解像度の高い工程表をごらんいただけます。
*東京オリンピック関連事業等の影響で建築費が高騰している状況を受け、当初の計画(2021年竣工)より遅らせました。状況によりさらに予定を変更する可能性がありましたが,2018年5月に設計施工者を大成建設(株)に決定し,上記スケジュールで進めることが決まりました。(2018.7.26更新)
工事の進め方
校舎工事は3期に分けて行います。この計画は「工事期間も教育や学校生活の質を維持する」ことを優先して考えられたものです。工事期間中の学校生活への影響を最小限にすることができると考えています。具体的には以下のような点に配慮しました。(2018.7.26更新)
仮設校舎は使わない
生徒の学習活動、日常の学校生活の中心となる普通教室、特別教室は現在の校舎を使いながら新校舎を建築し、仮設校舎を経由せずに引っ越します。学習環境の劣化を防ぐために、仮設校舎を使うことがありません。
運動会は毎年開成のグラウンドで実施する
運動会をする高台のグラウンドには仮設を含め校舎は建てません。開成の生徒にとってとても重要な存在である運動会は、準備や練習を含めて毎年開成のグラウンドで行うことができます。