趣意書

建学の精神

初代校旗(1895年製作)

初代校旗(1895年製作)

開成学園は1871年(明治4年)に佐野鼎によって設立され、2021年(平成33年)に創立150周年を迎えることになりました。この間、我が国の中等教育における最も古い私学として、「質実剛健」、「自主自律」、「自由進取」の建学の精神のもと、時代を牽引する数多の人材を輩出してまいりました。これは、開成学園を学び舎とした生徒たちの飽くなき向学心と教育に情熱を傾けた教職員の努力の賜物といえますが、同時に開成学園を支援していただいた卒業生と保護者の皆様のご支援・ご助力の結果でもあります。
我が校の人材輩出力を語る際に、大学の合格実績は氷山の一角に過ぎません。政治、経済、科学、文化といった各界において、新しい時代を創りだすリーダーを輩出し続けてきた歴史。この気骨ある自由闊達な開成魂は、まさに世紀を超えて、先輩から後輩へ、過去から未来へと受け継がれてきたのです。

開成の未来を創る ――高校校舎建替え事業――

丹呉理事長

丹呉理事長

その比類なき輝かしき歴史を持つ開成学園が創立150周年を迎えます。150年の誇りと未来への重み。この壮大な記念年を前に、開成学園はこれまでの歴史と文化に誇りをもつとともに、未来を牽引する躍進力を決定的に構築すべく、150周年記念事業として高校校舎建替え事業を行うことといたしました。
現在の高校校舎は、2021年には、体育館が建築後50年、特別教室棟が43年、普通教室棟が42年となります。開成健児の知的好奇心を満たすには日常の授業の質を高く維持することが不可欠であることはいうまでもありません。IT機器を活用しての授業や、ディスカッションを交えたいわゆるアクティブラーニング型の授業、少人数・多人数での授業、理科の実験、音楽・美術など芸術感性を育む授業など、授業のあり方は多様化しており、現在の施設の改修といった形での対応は限界に達しつつあります。また、課外活動のスペースも不足しており、ますます活発になってきている開成健児の生徒活動が、思うようにできない状況もでてきています。
さらに高台の第2グラウンドは体育の授業や部活動、そして運動会を通じて精悍な開成健児を育むべく重要な役割を果たしていますが、土であるために雨や雪、霜により、暫く使用できない状況に陥ってしまうことがあります。このような状況を踏まえ、高校校舎建替えおよび第2グラウンドの整備は、学園にとって喫緊の課題であり、150周年記念事業として行うにふさわしい事業と、学園として判断いたしました。
新校舎の建設にあたっては、「運動会の継続開催」を重要なことと考え、第2グラウンドを常に使える状態とし、現在の敷地内で校舎毎に順次建替える方式を選択しました。また8クラスが吹き抜けを挟んで向き合う構造にし、さらにオープンスペースを設けることで、学年間の交流の活性化を図り、互いの切磋琢磨を促します。加えて、吹き抜け内に先輩後輩の学年フロアへと移動できる階段動線を据えることで、開成らしい「縦横の濃い交流」を建築的に実現します。
また教室については、手狭であった普通教室を効果的に拡大しながら、多様な人材育成にふさわしい特別教室と専門環境の充実を行います。さらに、自主的な生徒活動を生み出すためにオープンスペースや屋上スペースの拡充、そして自主的生徒活動の拠点となるように学生ホールを配置することとしました。
最後に、開成学園にはこれまで中高全生徒が集まれる全校用ホールがありませんでした。校歌斉唱や記念式典、ボートレースの応援練習等、開成魂を共振できる場として、大体育館を大幅に拡充し、全校生徒の収容を可能とします。以上の結果、校舎全体の諸室床面積は現在の27%増の16,900㎡とする計画です。

以上、新校舎の計画は、建学の精神を核に、理事会・教職員が一丸となって、未来を託すに足る開成健児を育むため、時間をかけて立案したものです。完成時期は、創立150周年を迎える2021年竣工を目指しておりましたが、近時の建築価格急騰により、現状の試算では10億円以上の財源不足が見込まれており、戦略的に当初計画を繰り延べることといたしました。着工時期は、現時点では2019年頃を予定していますが、建築価格動向を踏まえて最終決定することとしています。なお第2グラウンドにつきましては、人工芝化する計画でありますが、新校舎建設に先行して2016年に着工する予定です。

創立150周年を迎える開成学園は、これからも我が国を、そして世界を牽引できるような卓越した開成健児を輩出すべく、ハード面・ソフト面ともに一層の充実に邁進してまいります。開成学園といたしましても、繰り延べた期間を含め、懸命に自己財源の積立てに努力いたす所存ですが、一部はどうしても皆様の強力なご支援をお願いせざるを得ない状況であります。
このたび、開成学園とOB会組織である開成会および父母と先生の会は一体となって「開成の未来を創る」ため開成学園高校校舎建設寄付金募集委員会を発足させ、下記の方々に委員を委嘱し、皆様にご寄付をお願いすることといたしました。
開成の伝統を未来へ。開成学園の発展のため、ご支援をお願い申し上げる次第でございます。

学校法人開成学園理事長
丹呉泰健

開成学園高校校舎建設寄付金募集委員会