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学園長・学校長挨拶

学園長よりご挨拶

学園長・理事長 樽見英樹

開成学園は、1871年に創立され、2021年に創立150周年を迎えました。永き歴史、伝統と教育理念を有する男子校です。

創立者である佐野鼎先生は、1829年生まれで、1860年の遣米使節、1861年の遣欧使節に参加しました。明治維新後、日本の近代化のためには学校教育が最も重要と考え、1871年の秋に、開成学園の前身である共立(きょうりゅう)学校を設立しました。明治維新後の動乱の中、わずか3年で、その高い志を迅速に実行に移し、そして成し遂げたということは驚くばかりです。

その後、1878年に、後に総理大臣になる高橋是清先生が25歳で初代校長となります。高橋是清先生は、東京大学予備門などへの進学に力を入れますが、教育目的は進学のみにあらず、「学問の目的は社会の利益を興さんとする」としました。この2人の志、ビジョン、実行力は、現在の日本にも最も必要なものであると思います。

後の 1935年に制定された校歌に「黎明日本の夢破り 文化の教 開きたる 我が先人を思ふとき」という詞があります。この思いは今日まで継承され、生徒は、校歌にある「遥けき行手のぞみつつ」「胸血高鳴りたぎつなり」を歌うばかりでなく、実践しています。

このように、佐野鼎先生、高橋是清先生の建学の精神を礎に、「質実剛健」「自主自律」「進取の気性と自由の精神」「ペンは剣よりも強し」そして開成の名前の由来である易経「開物成務」の精神が大きく育ち、かつ150年継承されてきました。そしてこの間、数多くの「社会の利益を興す」人材を輩出してきました。

現在、私たちを取り巻く環境の変化は、巨大かつ等比級数的に速いものとなっています。それは目の前の社会、経済の変化だけでなく、ICTやDXの急速な進展、経済活動のグローバル化、気候温暖化に伴う持続可能性やレジリエンスの追求、人口構造の変化、感染症対策など、構造的要因や広がりを持った変化であり、私たちの解決しなければいけない課題も、これまでになく多様かつ複雑になっています。今こそ、日本いや世界の未来を担う若い世代の教育が、重要な時はありません。

開成学園では、先生方の教育方針と、常に環境変化に適応した指導、そして恵まれた教育環境が整っています。先に述べた開成の創立理念に基づく教育は、現代の、オープン・イノベーション、アントレプレナーシップ、ダイバーシティーといった考え方にも通じるものであり、これからの世界に新たな価値を「興す」ことのできる多様かつ有為な人材の育成につながるものです。

本年、創立150周年の記念事業としての高校校舎の全面建て替えが完成しました。この未来につながる教育環境の下で、開成学園はこれからも、日本の教育の最先端を行く中学校・高等学校として、150年の伝統を守りつつ、価値を創出し世界の未来を担う人材を育成するという、皆さまのご期待にしっかりと応えていきます。

(2024年12月)

校長挨拶

校長 野水 勉

2020 年 4 月より、柳沢幸雄校長を引き継ぐことになりました。50 年ほど前に在籍した中学・高校に、このような形で戻ることを大変光栄に思います。小縣学園長・理事長をはじめ、開成学園の教職員の方々と協力し、保護者の皆様、様々な分野で活躍する卒業生の皆様のご支援を受けながら、大事な成長期を開成で過ごす生徒の皆さんが、将来幅広い分野で活躍するための基盤づくりのお手伝いをさせていただきたいと思います。

2021 年に創立 150 周年を迎えましたが、良き伝統を引き継ぎながらも、現在の日本を取り巻く世界情勢の中で、開成学園として日々研鑽を続け、さらに変化し、発展していく努力を続けていきたいと思います。

私は、35 年間の大学教員の間、ここ 20 年間は、大学で化学分野の研究・教育を担いながら、留学生交流プログラムの運営や国際交流に長年携わってきました。留学生が気持ちよく勉学に励んでもらうためには、留学生の様々な文化や宗教・国の背景の違いを理解しながら、相手の立場に立って、日本の制度や考え方を丁寧に説明することが重要です。日本の大学生たちも、交換留学等によって自分たちが海外での留学生としての経験をすると、多様な文化を積極的に理解するたくましい大人になって戻ってきます。

日本社会も、多様な背景をもった方たちが急速に増えてきており、否応なくグローバル化の時代を迎えています。開成の生徒や卒業生の皆さんが、これらに臆することなく、多様性を充分に理解し、マイノリティー(社会的少数者)や立場の弱い方々を含め、相手の気持ちを思いやることに努めながら、世界で様々な分野でリーダーシップを発揮して活躍していただくことを期待しています。これは、開成の創立者佐野鼎先生や高橋是清初代校長の創立の精神ともつながっています。

開成の教育は、質実剛健、自由の精神の下で、教職員の方々が不断に接触して、生徒が自主的、自律的に行動でき、個性を発揮するように努力しています。課外活動も盛んで、積極的に奨励しています。生徒の皆さんは、楽しみながら開成での学園生活を過ごしていただきたいと思います。 (2021 年 12 月)