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英語科 青栁良太
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第1回 英語を“実用の道具”として使いこなせるようにする
英語科 青栁良太
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手を伸ばせば届く“天井レベル”のオリジナル教材

二つめの特徴は、6年間通してオリジナルの冊子教材を使っていること。

授業って料理と似たところがありますよね。おいしくなければ食べてもらえないし、いくらおいしくても栄養がなければ食べ続けてもらえない。つまり、授業は生徒たちが興味を持つもので、しかも内容は役に立つと彼らが実感できるものでなくてはならないのです。

そんな料理をつくるには、やはり素材からこだわって自分で選ばなくてはなりません。それに開成の生徒たちの理解力と彼らが授業に求めるものに応える教材を、と考えたら、やはり自分でつくる以外ないだろう。加えて、開成という学校には「自主教材文化」のようなものがあり、教員が自分で素材を見つけてきて調理することをよしとする雰囲気に満ちていた。こんなにいい環境に自分がいるのだから、やらない手はない。それで、着任して最初に受け持った学年からずっとオリジナル教材を使って授業を行ってきました。

教材づくりについて簡単に説明しますと、たとえば中学の教材なら、3年間で文法が体系的に頭に入り、一通りやったという達成感を本人が持つことができる理想形をまず思い描きます。そして一回50分間の授業で扱える分量に素材を分けて落とし込み、それを週2回ずつ着実に3年間進めていけば、中学3年の三学期の最後の授業「第123講」で文法が完成するように緻密に組み立てています。

教材の難易度は開成生が最も好む、生徒たちが手を伸ばせばなんとか届く“天井レベル”に設定しています。「ああ、なるほど」「こう考えればよいのか」と彼らが思えるように、自分の言葉で説明しています。

教材は、散逸を防ぎ、あとで振り返ることを考えて、プリントではなく冊子化してあります。生徒たちは50分の授業の一つ一つが計画された線路を成していて、各駅停車で一駅ずつ進んで大きな路線図を完成させていくような気持ちになって授業に取り組んでいるようです。「大きなジグソーパズルを完成させていく感じ」と例えてくれた生徒もいました。卒業生からは「教材冊子は全部並べて取ってあります」と、よく言われます。

行き当たりばったりではなく、精査して形を整えきちんと前に進めていく。この冊子教材を使ったやり方こそが語学学習にもっとも適した方法である、と自負しています。

冊子の冒頭で、生徒に伝えたいメッセージを贈る

冊子教材の最初のページに、私は「はじめに」という文章を記しています。これは、いわば私から生徒たちへの手紙のようなもの。

生徒と私の出会いは、生徒と英語を教える教員という関係の前に、年齢の異なる人間と人間の出会いです。私の役割は、ただ英語を教えれば終わりというものではありません。縁あって出会った生徒たちに、先に生きている人間の一人として、伝えたいこと、分かち合いたいことが、日々の生活のなかでもたくさんあります。その思いを伝えるために、私はその時々で私自身が考えていることをここに書いています。

生徒たちの顔を思い浮かべて彼らに向かって書いてはいますが、こちらが一方的にやっていることなので、読むも読まないも彼らの自由です。しかし、「いつも読んでます」「『はじめに』を楽しみにしています」などと言われるとやはりうれしくなります。

教材そのものは、常にアップデートし続ける必要があるのですが、それは「はじめに」についても同じ。毎回書き換えて、その時々の思いを伝えていきます。

(文・取材=平林理恵、写真=稲垣純也)