2 月 28 日中学小講堂で、中学一年生を対象とした落語会が行われました。この番組を組んだ席亭の稲荷亭が太郎(葛西)の紹介で、落語芸術協会と落語協会の気鋭の若手二ツ目の奇跡の激突であることが伝えられ、生徒のワクワクが高まります。

一席目は後輩への初披露となる小次郎さん。短いマクラからの端正な「道具屋」。ちょっとおつむの足りない与太郎が古道具屋をやらされるが、買いに来た客とのやりとりが頓珍漢で客を怒らせるという噺。中一は「バカ」が大好き、一つ一つのクスグリに反応良く大爆笑。トントン運んでサゲの「(銃の)値は?」「ズドーン」(「ね」を「音」と取り違えた)というちょっと難しい「考え落ち」も小次郎さんの勢いで大笑いしていました。わかったのかな? いずれにせよ、見事な母校への凱旋でした。

トリは笹丸さん。昨年 11 月、生徒にインプロ(即興演劇)を教えてくれました。落語に留まらない多才なパフォーマーです。マクラは学校寄席での子供の無邪気な質問ネタで生徒を惹きつけると、メイドカフェでの「面白くな〜れ❤️」で悶絶させ、「熊の皮」に入ります。妻にこき使われる夫が、赤飯のお礼を言いに行かされて失敗するという噺。艶やかで憎めない鬼嫁と尻に敷かれる甚兵衛さんの哀愁溢れる姿という描き方が秀逸。お医者の先生との頓珍漢なやりとりではやっぱり大爆笑。「尻に敷く?そうだ女房がよろしくと言っていました」という、これも「考え落ち」のサゲですが、こちらは分かった感じの笑いでした。センスいいぞ! チャイムが鳴る30秒前というプロならではの時間配分もお見事でした。

「落語鑑賞教室」ではなく、「本物の落語会」というコンセプトで企画・運営しましたが、生徒も十分それに応える姿を見せてくれました。お二人からも「自然体で落語を楽しんでもらえたように思えまして、とても嬉しく存じました」「反応のいい生徒さんたちで楽しく喋らせていただけました」との感想をいただきました。失敗や貧乏をものともせず逞しく生きる庶民の人間としての業を描く落語にこれからも接してくれたらと願います。
落語会に先立ち、二人のインタビューを動画に撮り、学年の Google Classroom に上げました。紆余曲折の末に噺家に至った二人から、中一生への進路についてのアドバイスを意図しています。不登校に悩みながら乗り越えて大学の特待生として公認会計士を目指しながら、竹丸師匠の落語に出会ってビビッと来て、親に大反対されながら入門した笹丸さん。開成を出ながら大学を中退し、人力車曳きや海上自衛隊幹部を経て親の猛反対にあいながら、さん喬師匠にお百度参りをして入門した小次郎さん。開成生へのアドバイスとして、笹丸さん「回り道のように見えても人生無駄なんかないよ、全部つながるから」、小次郎さん「開成生ならやっぱり勉強が大事だよ、色々な職場で勉強は活かされるんだよ」という言葉を贈ってくれました。大変有意義なインタビューになりました。お二人どうもありがとうございました。



