開成生にとって、絶対に負けられない戦いがある。運動会である。
開成の文化に馴染みのない人にとって、理解しがたいものがある。運動会である。

5月8日の7：10より、創立145周年開成学園大運動会の開会式がスタートした。毎年、母の日に開催される大運動会では、男と男が文字通り「ぶつかり合う」戦いが、学年ごとに繰り広げられる。12歳から18歳の男が放つ悲喜こもごものドラマを目の当たりにすると、胸打たれると同時に、すっきりしないモヤモヤが頭に残る。

何故こんなにも熱くなれるのか。145年の歴史を支えてきたものは何だろうか。その答えは、青春期を開成で過ごした人にしか分からないのかもしれない。それは開成の運動会が、１年をかけて準備されたものだからである。

運動会が終了するやいなや、次年度の運動会に向けて運営面や安全面の改善が検討される。もちろん、組ごとの競技練習や応援練習、エール（応援歌）やアーチ（桟敷の後ろのパネル絵）の作成も進められる。

当日の運動会を観戦するだけでも、華々しい戦いの裏に、様々な役割・分野で活躍する開成生がいることが分かる。彼らは競技の勝敗を超え、開成大運動会の成功を目標とした「負けられない戦い」をしていたのだろう。戦いを終えた後、校歌を高らかに歌い上げる生徒たちの顔が、どこか誇らしげであった。

来年の創立146周年大運動会は、「人工芝化」されたグラウンドで行う、1年目の運動会でもある。新しい運動会へ、開成生の戦いはすでに始まっている。